こんにちは!hakublog ライターのたーぼーです。
前回の記事ではシェフである健太くんの人生を振り返ってきましたが、今回は健太くんがなぜこのカフェのシェフをやることになったのか、そこもみなさん気になるところだと思ったので、聞いてみました。
(この記事は前回の記事の続きです!そちらも併せて読んでいただければ幸いです。)
健太くん、なぜhakuのシェフになったんですか?
ーー引き続きよろしくお願いします!今回はhakuとの出会いについて色々お聞きできればと思います!
ここと出会ったのは大体27〜28歳の時でしたね。パートナーが物件を見るのが好きだったんですが、彼女がたまたま奥湯河原エリアで探していた時にここを見つけたのです。
当時はまだボロボロのお家だったんですが、この建物の2階を見た時にパートナーが一目惚れしたんですよね。めっちゃ気持ちいいし、お昼寝には最適なんですよ。

ーー一目惚れして、すぐ購入だったんですね!最初からカフェにする予定だったんですか?
最初は別荘のつもりで購入しました。ただ、パートナーはご両親が大好きな方なので
「父や母が老後に何か出来る場所にしてもいいよね」
という話になりました。なのでお父さんは店内で船の模型などを展示してますし、お母さんはテラスのお庭でお花を植えたりしています。その流れで老後の過ごし方を考えるようになり
「カフェにして余生を過ごすのもありかな」
という案が出てきて、今私がフライパンを握ることになったわけです。メインはご両親の趣味の場所というイメージです。
ーーそれを聞いた時、どう思ったんですか?
正直、飲食店とか経験したことなかったのであまり乗り気ではなかったのですが、パートナーの一声で始まったので、ノリでそれに付き合いました。
その時私もあまり副業で成果を出せていないタイミングだったので、「とりあえず湯河原で何か飲食店を探し、そこで修行してきて」と言われましたね。

hakuのシェフになるまで
ーータイミングも重なり、始めざるを得なかったんですね。
やむなくネットで色々探していたんですが、結構昔にパートナーと一緒に行ったとあるカフェレストランがとても美味しいことを知っていたので、そこに行くことにしました。
ーー働いてからはどんな感じだったんでしょうか?
包み隠さず言うとオーナーがとても厳しい方でした。月火水の週3で9時30分から16時くらいまで入っていたのですが、お店に入る前に一呼吸置くというのがルーティンになるくらいには笑
そこでホールなどの接客は学べましたが、結局キッチンに立てなかったので半年で辞めました。代わりにパートナーが知っていた東京の飲食店で働き始めました。そこには今でも通っています。
ーー紆余曲折あったんですね。オープンしたのはいつ頃だったんですか?
2024年の1月です。最初はワンオペでやってました。「こんな奥湯河原の地にお客さんなんて来るんだろうか、来なかったら半年くらいで辞めようかな」と思っていたんだけれど、ありがたいことに来ていただいていたので、なんとか1年以上続いています。
その頃からWEBの仕事も軌道に乗り始めてきて、WordPress(ワードプレス)でHPを作るようになりました。その辺りから仕事に手応えを感じるようになりましたかね。
ーーその頃から色々と軌道に乗り始めていたんですね!
でもオープン当初は割とダラダラやっていました。「単に美味しいものを作れば良いよね」というマインドだったんですが、ある時それだけじゃダメだなと思ったんです。
お客さんって「この料理、手を抜いてるなぁ」というのが基本分かるんです。せっかく町から少し離れた場所に来て、お金を時間を使っていただくわけですからちゃんと作ったのが分かるようなものを提供するようになりました。

健太くんにとってhakuってどんな場所?
ーーhakuを一言で表すならどう表現しますか?
「人の作品が集まる場所」です。私やスタッフの方々の料理も作品だし、パートナーのお父さんが作って展示してるものも作品。作品に触れられる場所でもありますね。
実を言うと、飲食店というつもりではやってなくて、それぞれの人が命懸け作った芸術作品を集めた場所って表現の方が合っているかもしれません。その道を追求するという崇高なものではないにしても
「今出来る状況で、自分の能力を最大限に発揮し、最高の作品をここで表現するとしたら何が生み出されるのだろう」
という哲学の元、このcafe hakuという空間に合うものを集めてる。そんなイメージです。

ーーとても面白い表現ですね!hakuの中でルールなどはあるんでしょうか?
お手伝いさんたちに言って、共有しているのは「何があっても手を抜かない」ということだけです。それは厨房の柱にも貼っています。というのもこういう目標がないとどこを目指せばいいか分からなくなるんですよね。
お客さんがたくさん来て、忙しくなるとどうしても多少の雑さは出てきてしまいます。そんな時にこのルールを思い出して、守る。ということだけを繰り返してきました。

ーー「手を抜かない」を何があっても全うする。とても素敵な理念ですね。
そしたらhaku全体でも「手を抜かない」が当たり前になったので、「手を抜かない」の先を考えた時に「提供する料理を本気で美しく作れたら面白いよね。」と作品(メニュー)の提供に力を入れるようになりました。当然、私の気質もありますが
ーーお店の経営についてはどう考えていますか?
一般的に言われるような「マーケティング」とかはあまり意識していないです。先ほどの話にもつながりますが「ただ自分たちが納得のいくものを提供する」というスタンスのみで勝負しています。それでお客さんが来なかったら諦めがつくから。
「作品を作っているんだな」と肌で感じてもらうことができたら、お客さんはまた来てくれると信じています。まだオープンから1年ちょっとですが、真剣にやっていると分かる人は来てくれることに気付きました。
ーー実際にお客様からリピートされたエピソードとかありますか?
うちのスタッフの方が「どこでhakuを知ってくださったんですか?」と聞いてくださったので分かったのですが、わざわざインスタで調べて来てくれる人が多いみたいです。
インスタも手を抜いて無かったので、お客様の心にしっくりくるものを提供できるのかなという自負はあります。こんなこと普段はあまり言わないですが(笑)
ーー「手を抜かない」というスタンスがお客様にも伝わっているのですね。
必ずしも伝わるというわけではないのですが、自分たちが納得いかないものを出して、お客様が来なかったら悔いが残る気はしますね。

作品(料理)との向き合い方も聞いてみた
ーー作品の素材選びにこだわりはありますか?
高級な素材は基本使わないようにしています。身近にあるスーパー。湯河原だったらエスポットですが、簡単に買えるものを調合して、調理したら最高の化学反応が起きて面白いんじゃないかなと思っています。ありふれたものから宝石を作るようなイメージです。
ーーその思いはどこから来ているんですか?
良いものを寄せ集めて良いものができるのは当たり前な気がするからですね。「1+1=2」のように分かりやすい世界ではなく、掛け算をしていくように作る。誰でも手に入れられるもので、良いものを作るということをこだわっています。逆にね笑
ーー他には何かこだわりはありますか?
自分にとって90点を超えない作品はお客様に提供しないようにしています。過去のメニューに和風たまごスパゲッティーとかペペロンチーノとかあったんですが「普通に美味しいな」と思うものは家庭で作るのみにしましたね。
ーー何を基準に点数をつけてるんですか?
自分の味覚、そして自分が納得するかどうかというセンスで決めています。誰かに「これ美味しいね」と言われたから、というよりもそっちを優先してます。60点のものを10品よりも、90点のものを3品の方が良いですね。私はそっちの方が合っています。
ーー健太くんイチオシの一品ってありますか?
ナポリタンですね。なんでかというと、作ったものの中で始めて納得がいったから。ナポを作ったことで自信がつき、いろんなメニューの作り方を調べました。0から1になった瞬間です。デザートはチーズケーキも特に思い入れがありますね。一言で言うと、愛着です。


ーー少し長くなっちゃったので、続きは次回に!

編集後記
ふとしたきっかけから、カフェでシェフをやることになった健太くん。未経験から飲食店の修行に挑戦するも最初の頃は上手くいかず、泣いたこともあったと言います。
それでも諦めず真剣にやった結果、今hakuの厨房でフライパンを握り、お客様へのお見送りを欠かさない彼の姿があります。そんな背中で生き様を語るスタンスに、我々も学ぶものがあるのかもしれませんね。
次回「木平の哲学編」
次回記事では「健太くんの持つ哲学」を綴っていきます。お楽しみに!
【cafe hakuについて】
営業時間
11:00〜16:00(ラストオーダー15:30)
定休日
火曜日、水曜日、木曜日
支払い方法
現金、QR決済(PayPay導入予定)
禁煙・喫煙
室内禁煙
設備
テーブル10席、テラス2席、ソファー4席、カウンター3席
アクセス
JR湯河原駅より箱根登山バスで15分
住所:〒259-0314 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上683−13
駐車場:2台+臨時駐車場
お店の種類
カフェ・喫茶店
ジャンル
洋食、軽食
メイン料理
カレー、パスタ、その他(オムライス、ピラフ、ケーキなど)
利用シーン
お一人様、家族・子連れ、ランチ、デート、接待
こだわり条件
落ち着いた空間